（写真：New York Times）

ロイター通信は１４日、イスラエルの戦時内閣が反撃を実施すること自体は支持したと報道しました。しかし、時期や規模に関しネタニヤフ政権内で意見の相違があるといいます。

「適切な時期と方法で、われわれはイランに代償を払わせる」。戦時内閣入りするガンツ前国防相は１４日、イランに報復すると主張しましたが、反撃が差し迫っているかは明らかにしませんでした。イスラエル当局者は米ＮＢＣテレビ（電子版）に、政権はイスラエル軍に攻撃の選択肢を提示するよう求めていると語りました。

イスラエルメディアによりますと、政権内では、イランから攻撃を受けているさなかにも反撃すべきだとの声が上がりました。しかし、この案は防衛に徹するためとして拒否されたといいます。

戦時内閣は１４日の閣議で報復の是非について協議しました。議論は３時間に及びましたが、米国が強く自制を求めていることから一時中断したと伝えられます。

一方、イスラエルはこれまで、アラブ諸国との関係正常化を進めて対イラン包囲網の形成を目指してきた経緯があります。ガラント国防相は１４日、オースティン米国防長官と電話会談し、「イランの脅威に対抗するための国際的で戦略的な同盟設立の機会だ」と強調しました。イスラエルメディアは、米国やアラブ諸国と「戦略的な協定」を結ぶ代わりに、反撃を控える可能性を指摘しています。

イスラエルはパレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと戦闘を続け、終結の見通しは立っていません。北部でもレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと散発的に交戦しています。イランとの本格的な応酬による「戦線拡大」は軍事的にも経済的にも大きな負担になるのが実情です。

イスラエルの国家安全保障研究所のシマ・シェーン上級研究員は、反撃について「待って考えるべきだ」と指摘します。ただ、「（対イラン強硬派のネタニヤフ首相が）待つという判断を下せるかどうかだ」と語りました。（時事）